シードームについて

理念・目標

< 理念 >
○ 人は生まれながらに自ら学んでいく力を備えている。
○ 学びは自己動機・自己管理・自己評価によって最善の形でもたらされる。
○ コミュニティの運営に平等に参加できる権利を持つことで、コミュニティを通した学びをすることができる。

< 目標 >
○自他ともに尊重し合える人(自分も大切にして周りの人も大切にできる人)
○自分の事は自分で決めているという意識があり、自分の行動に責任をもてる人
(一人ひとりの行動は周りに影響を及ぼしていることを理解し言動を選択できる人)

この学校の構成員は上記のような人を育てることが可能な環境を整え継続する。

2021.9.25決定
※「理念」「目標」も今後の話し合い次第で変わることがあります。

主な特徴

< 自由・責任・尊敬 >

私たち人間は、自ら興味をもったことに取り組むとき、自分に必要な知識や技術を自然に身につけます。周りの価値観ですすめられるものではなく、自ら感じた「知りたい」「学びたい」「身につけたい」気持ちをもとに、その思いのままに行動していくことをシードームは大切にしています。
ですから、この学校の生徒は自らの意思で一日の流れをデザインし、自由に過ごします。
自由というと勝手気ままでわがまま放題という印象を受けがちですが、自分で決めたことに対して責任を負わなければなりません。自由と責任は表裏一体なのです。
また、コミュニティの中で自分の自由が大切にされるということは、他者の自由も大切にする ということでもあります。自他ともに尊敬しあえる空気が作り出されます。

< 年齢ミックス >

シードームにはあらかじめ決められたクラスはありません。やりたいと思ったことを一人で取り組むか、だれと取り組むかまで自分で決めます。
実社会と同じように「様々な年齢の人」「様々な特技を持った人」「様々な性格の人」が集まった中で、どのように自分らしく生きていくかを経験します。
肩書きや年齢の上下だけで相手を判断するのではなく、お互いの個性を認め合い尊敬しあうことのできる環境です。

< 話し合いによる学校づくり >

日々の小さな決めごとや報告から、ルール決め、スクールの予算やスタッフの人事などの運営に関わることまで《ミーティング》で決めていきます。
ミーティングでの発言は生徒もスタッフも同等に扱われます。様々な「考え方」「意見」「見方」に触れ、それが否定されない環境に身を置くことで「ありのままの自分」「ありのままの他者」を受け容れることができます。

また、自分の思いを実現するためにどのように相手に伝えるか、他者はどのような考えをもっているかを理解する経験をします。自分たちの学びの場を自分たちでつくるので、この学びの場を大切にし、より良く存続させたい気持ちが生まれます。

年に2回、保護者も議決権をもつ、総会という話し合いの場もあります。

< 評価について >

・テストなどによって他者に評価されることはありません。
・通知表や内申のようなものはありません。

シードームを支える人たち

スタッフ

スタッフは、生徒の活動を支え、日常的にスクールの運営業務を行います。
シードームの理念に賛同し、スタッフ選挙で生徒に選ばれたのち総会で承認された人です。
(基本は常時2人)


黒柳 佐智代(さっちん)
幼児教育の現場の経験と、自身の出産・育児から、より有意義な子ども時代の過ごし方を探していたところ、書籍「世界一素敵な学校」のモデルとなるサドベリーバレースクールに出会う。子どもを全面的に信頼するデモクラティックスクールを愛知県にも作りたくて、2010年から活動を始め、2011年4月に本格開校する。元保育士・幼稚園教諭。三児の母。好きなことは、おいしいものを食べる事、自分が高まること、「7つの習慣」を読んだり実践したり語ったりすること。

辻 佳秀(つーじー)
大阪生まれ奈良育ち。
大学生になって自由になったときに、自分が何がしたい人間なのかわからなくなり、1年間家で寝続ける。寝るのにも飽きてきて、学校外で様々な活動をしつつ自分のことを振り返る中で、自分が受けた学校教育に疑問を抱き始める。
その後、北海道から沖縄まで多様な教育現場を訪問し、その中でサドベリースクール・デモクラティックスクールとも出会い、子どもたちの姿や理念に惹かれる。
好きなことは、遅刻することと遅刻されること。関西の鋭いツッコミが光ります。


今村 美幸(みゆきちゃん)
人生の前半期を修行僧のように生きてきた私ですが、子どもが不登校になったのをきっかけに、生きるって一体なんだろう?を自分自身と真剣に向き合う。
そうした行動の中で新たな素晴らしい出会いがあり、その中にサドベリースクールがありました。
子どもたちを1人の人として大切に尊重する考え方に共感。子どもたちの持っている無限の可能性を暖かく見守り応援する存在であり続けたいとスタッフに応募。
現在の私のテーマは自然体。


浅若 美佳(みかん・みかちゃん)
二児の母。占星術家・ラジオパーソナリティ。子どもたちは豊橋のシュタイナー園卒園。公教育ではない選択、子ども主体で自由に学ぶ教育に興味関心を持ち、シードームを見学、数年経ったのちスタッフ応募。さっちんに誘われ「7つの習慣」を勉強し、家庭で家族会議実践中。好きなことは旅、音楽、歌、写真、遊ぶこと、笑うこと、楽しいこと。できることは翻訳、デザイン。

アートルームスタッフ(非常勤)

mamichan
杉浦 真美(まみちゃん)
自由な絵画教室「子どものアトリエアートランド」提携アトリエでアシスタントをしていた時に「学校がこんな風だったらいいのになぁ」と考えていた。シードームを立ち上げようとしていたさっちんからパンフレットのイラストを依頼されたことがきっかけでスタッフになる。 子ども達が、自分で選択した道を楽しみながら進んでいける世界になることを願う。元学童保育指導員。好きなことは、描くこと・つくること・散歩・昼寝・旅行。

保護者

保護者もスクールの一員です。メンバー保護者は総会での議決権があり、学校運営に関わることができます。
原則として、スクールの日常の活動への参加や、校内に入ることはできません。
自由な活動を尊重するため、ご理解ご協力をお願いいたします。

サポーター

技術サポートと生徒サポートに分かれ、生徒の幅広い活動を支えていただく方です。
随時募集しています。
◇技術サポート:特定の技術・専門知識を持った方で、生徒のサポート要請があった場合に相談させていただきます。
◇生徒サポート:生徒とともに過ごし、日常的な活動をサポートしていただく方です。
スタッフの業務の補助をお願いすることもあります。基本的にボランティアでお願いしています。

設立のきっかけ

こんにちは、三河サドベリースクール・シードーム代表の黒柳佐智代です。

なぜサドベリーモデルの学校を設立したのか?
その動機も含めて、簡単に自己紹介をしたいと思います。

私は自分自身が子どもの頃から、小さい子どもが好きでした。大人になったら幼稚園の先生になり、自分が卒園した幼稚園で働きたい、と思っていました。

高校生の頃、進路を決める時になり、幼稚園教諭、保育士、小学校教諭の免許をもらえる大学を第一志望と決め、なんとか合格。そして大学3年生の頃くらいから、就職先を意識してきました。

自分の夢である、出身園で幼稚園教諭として働くには、地元の公立保育園に就職してから異動で幼稚園に赴任するという方法があり、その道を進むことを目指すことに決めました。

大学4年生の夏休みに、「少しでも現場の体験を」と思い、A共同保育所でアルバイトをしました。

そして晴れて、地元の公立保育園に就職することができました。

そこでは、3歳児から5歳児が混ざった年齢縦割りのクラスで、担任の保育士は2人という複数担任の形態でした。この保育園でいろいろな経験をさせていただきました。この保育園での数年間の勤務の後、異動希望が通り、出身園である幼稚園に転勤しました。

こちらの幼稚園では、年齢ごとにクラスわけされている一般的なかたち。担任の保育士は一人でした。

幼稚園で働くにあたり、
「理想の保育ってなんだろう?」
「こども時代に必要なことって?」
「どんな経験をさせたい?」
そのようなことを考えていました。

幼稚園では保育園より自由度が高い保育形態をとっており、また、考え方にも違いがあり、はじめはその差に混乱してしまいました。園によって保育観が大きく異なることに驚き、何を信じるか迷いました。

戸惑いはありながらも、
「幼稚園時代が楽しい時代であるように、意欲的に楽しめる場を提供しよう」
「集団生活の経験の場として協調性や、話を聞く態度を身につけるとともに、自分を発揮する力をつけよう」
「自己肯定感を身につけるために、愛をそそごう」
というようなことを考えつつ、また幼稚園のカリキュラムに沿うように、保育していたと思います。

その後、結婚して子どもを授かり、出産し育児休暇をとりました。

自分が子育てを経験することで、これほどまでに大事に育てられた子どもを、保育園や幼稚園に預けて下さっていた親の気持ちを、身にしみて感じました。

そして長女が3歳になり、通う保育園について考えるようになりました。

その時、わが子を手放したくないと思いましたが、職業柄、年齢になれば親元を離れていくものだと、当然のように思っていました。

夫婦で次のような会話をしたことを覚えています。

夫「みんな、保育園や幼稚園に行かないといけないの?」
私「そりゃ、せめて2年保育くらいはしておかないと、小学校に入るまでのルールとか集団とかを知るために必要でしょ」

このころには、下の娘も生まれていて、2児の母として普通に主婦をしていました。

そんな折、「ユダヤ人大富豪の教え」の著者の本田健さんが、娘さんに適している園を探し、引越ししてまで通っていたという話を、夫から聞きました。

本田さんの本で、お金のことなど、人生に必要なことを学校で全ては学ぶことができない、というようなことが書かれていたのを読んで、自分の受けた学校教育ってなんだったんだろうとも、考えるきっかけになりました。

さて、本田さんの娘さんは、幼稚園卒園後アメリカのボストンの学校に通っているという話を夫から聞きました。そして、どうやらその学校は行事も授業も無いそうだと。

夫が早速そのボストンにあるサドベリー・バレー・スクールについて書かれた「世界一素敵な学校」という本を買ってきて読んでいました。しかし私には、とても分厚く難しい本に感じられて、私はしばらく読みませんでした。

さて、娘はというと公立保育園に通うことに決め、4月から通い出し、同時に私は育児休暇を終了して幼稚園に復帰しました。

親になってからの保育士の仕事は新鮮でした。そして、自分の中で最高の保育をしたいと意気込んでいました。どんなことでも、無理強いしない。楽しく過ごしたい。これが一番だと思っていました。

ただ、園には年間計画というものがあり、行事があります。それ以外にも、製作だなんだ・・・
遊ぶ時間もあるけれど、やれ給食だ、集合だ・・・ という調子で、思う存分遊ぶ時間がとれません。

すべてが先生の管理の中での自由であって、とことんやりたいようにやる経験は、なかなかできないということに気がつきました。

また私自身も「我慢が大事」だとも思っていました。「自己コントロールするための練習の場」だとも考えていました。

先生が設定するものに子どもたちが意欲的に参加するように、言葉がけや雰囲気をつくることもしました。
子ども発の意欲ではなく、先生発の意欲。

いろんな疑問を抱えながらの保育だったけど、子ども達はとてもかわいく、いとおしく感じました。

そんな時ふと、昔、夫が買ってきた、水色の厚い本「世界一素敵な学校」を再び手に取り、読み始めると、抱えていた疑問や混乱がどんどんほぐれていきました。目からウロコとはこういうことかと感じました。

「子どもは本来学びたいもの」
「自分に必要なものは学ぶようになって生まれてきている」
「自由な環境の中で、遊び、学びがある」

あまりにも極端に感じられましたが、これを信じてみたい気持ちに導かれました。

結局、その半年後に退職。

自由な保育園で働くことを夢見て、学生時代にアルバイトしていたA共同保育所に見学に通いました。
これまで見てきた保育園や幼稚園とくらべると、大人の介入が大幅に少ないことに気づきました。子ども同士で自治しようとする雰囲気さえ感じました。

わたしが、これまでどれだけ余分なことに干渉してきたかを思い知らされる貴重な経験でした。
子どもに干渉なんていらないのでは、、と実感しました。

本当に干渉が必要なことなんて少しだけ。
本当に急がせたりするときなんて少しだけ。
本当に守らせたいルールなんて少しだけ。

それ以外は、大人の都合で干渉したり、急がせたり、注意していたのだと気がつきました。

でも、この共同保育所を卒園した子どもたちは、やはり、普通の公立学校へ進学する子がほとんどです。
こんなに素敵に育った子ども達が、学校へ入り、長時間椅子に座ったり、宿題、テスト、順位付け、通知表・・・

なんだか、もったいない気がしました。

娘が将来通う学校も、公立の学校で支障はなさそうです。
しかし、いずれは、必要かどうかわからないテストに頭を抱えたり、入試で悩んだり、いじめなどの人間関係で悩んだりするのかなあなんて思ったら、「娘のいいところを、思いのまま伸ばせるところを用意したい」と、思いました。

もちろん、どこの学校に進むかは、娘自身が決めることです。ただ、選択肢を用意したい。

海外の学校は現実的に難しいです。
国内にもサドベリー・スクール(デモクラティック・スクール)はありますが、今住んでいるところの近くにはありません。

「引越しするくらいなら、いっそ創ってしまおう。娘も通ったらいいし、自分もこうした教育に携わりたいので、ちょうどいい。」

こんな風に思って、今に至っています。

あれから、ボストンにあるサドベリーバレー校に関する本や、資料、ビデオを見たり、アメリカのサドベリーバレースクールに行ったり、日本にあるサドベリー・スクール(デモクラティック・スクール)へ訪問したり、関わっている人に話をお聞きするたびに、この教育スタイルの素晴らしさを実感します。

近い将来、デモクラティックスクールが世の中に広まるといいなと願っています。

シードームのあゆみ

2009年11月第1回「新しい教育を考える会」開催
12月第2回「新しい教育を考える会」開催
2010年1月「三河サドベリースクール夢を語る会」開催
3月「ハドソンバレーサドベリースクール在学生インタビュー会」開催
代表自宅にてプレオープン土曜日開始(週1回)
6月プレオープン火曜日開始(週2回)
8月プレオープン木曜日開始(週3回)
10月サドベリーバレースクール海外研修参加
12月「新しい教育を考えるヒント」開催
2011年4月開校記念講演「自分の人生を生きる学び」開催【本開校】
5月「サドベリーバレースクール卒業生との交流会」開催
2012年
5月「ピーストライブ2012 未来のために今を」参加
7月校舎移転
2013年12月きむらゆきさんの子育て講座「信頼と尊重のコミュニケーション」
2014年4月一般社団法人化
2015年5月「Kuragari Sonud Fes」参加(こだまの家にて「子育ての話」)
2016年8月「植松努氏講演会~思うは招く~」共催
11月「小さな天才の育て方・育ち方」主催
2017年8月「ハドソンバレーサドベリー スタッフ(元生徒)とのお話し会」
2018年8月「中日新聞 西三河版」に掲載される
2019年1月「TEDxAnjoSalon」にて代表 黒柳がスピーチ
2020年校舎増設
1月第1回シードームまつり開催
10月中日新聞に掲載
2022年3月初卒業生誕生